道のない山 大佐飛山 (栃木県)

山行名:道のない山 大佐飛山

登山日:2010年5月2日~3日

登山口:ワイルドフィールズおじか

昨年、仲間の集まりで、S氏に藪の山大佐飛山に行かないかと声をかけた。そして今年、兜岩山へ行った折、大佐飛山はどうなりましたと聞かれた。一人でも行こうかと考えていたので行こうとなった。

 

しかし、私は日帰り、S氏は12時間の山行は無理ですよと言われ、日帰り(ビバーク覚悟)と泊まりとどちらにしようか迷っていた。するとS氏から「523日は天気がよさそうですよ」とメールが入った。これでテント泊(山中一泊)にしようとメールを出した。

 

 5210時大宮出発、登山口13時出発と連絡、大宮には少し早めに来てもらった。4~5時間歩いてテント泊にすれば翌日楽になると黒滝山コースと決めた。

 

 大佐飛山は栃木県北部、那須岳と高原山の間にある山域でその最高峰が大佐飛山である。大佐飛山の隣に男鹿岳があるが、ここは三百名山に入っている。しかし大佐飛山は入っていない。栃木百名山ガイドブック(栃木県山岳連盟編・下野新聞社発行)には載っている。

 

 大佐飛山・男鹿岳共に道のない山、積雪期で雪がしまってからの登山する山である。登山コースは那須側の通称「黒滝山コース」と藤原町の横川放牧場から廃林道を通ってヒョウタン峠から、那須側の板室温泉から通称塩那道路を21.6km歩きヒョウタン峠からと3本ある。道のない山歩き、藪山を歩く岳人には人気のある山である。

 

2010年52日(日)

S氏が車で我が家に、荷物を私の車に乗せ換えて出発する。岩槻インターから東北道に乗る。高速に乗ったとたん、渋滞でノロノロ、予定より少し早く出てきたが何時に到着するか読めない。

 

車中で山行の相談。私が提案、横川コースでテントを置いていくと少しは荷物が軽くなるのでどうかと、S氏は考えていたが強引に横川コースにしてもらった。

 

ただ、キャンプ地から林道終点まで1時間半かかることは記憶にあった。その先、廃林道を通ってヒョウタン峠にあるプレハブ小屋(小屋は使用できるが積雪で中に入れるかどうかは不明)までどの位の時間がかかるかわからなかった。行けるところまでいってダメならビバーク、翌日撤退などを決めればよいとして、塩原温泉を通ってワイルドフィールズおじか(JOBSおじかとも言うらしい・キャンプ地)への道を行く。

 

 キャンプ地入口には車両通行止めのチェーンがかかって侵入できない。キャンプ地50m程手前の空き地に車を止め登山の支度をする。

 14時30分キャンプ地を出発。キャンプを楽しんでいる人たちの間を通って林道を行く。林道の途中で親子連れに何組も出会う。山菜でも取って夕食の一品にするのだろうか、彼らは林道をそんなに奥までは行かないようだ。横川放牧場A団地・B団地・C団地と看板を見ながら過ぎていく。看板から右上に道が上がっていくようになっているので放牧場は上にあるようだ。

 

放牧場団地を過ぎると二股の道になる。左は男鹿川本流へ、右には車両通行止めのチェーンがかかっている、このチェーンを跨いでなおも林道を進む。ここからは男鹿川の支流、白滝沢に沿って上流へ向かう。道は崩落が進んでいる中、車一台通れるように崩壊地を整地してあった。いつ崩れてもおかしくない道である。しかも川床より50mほどの高さで、歩いていても谷側には寄れない。

 この支流にはワサビ田が沢山ある。ワサビ田を見ながら行くと道は川へ下りていく道がある。道の上を川が流れている。道の向こうには軽4輪トラックが止まっている。車だとなんなく渡れる浅さである。ここ川の上流を見ると川が二股に分かれている、向こうの道に入るには右の川を渡り更に左の川に渡らねばならない。石伝いに渡ったが道は50mも行かないうちに道が無くなった、左の川の左岸に道らしき広い場所がある、また、渡渉する。ここを上流に向かうが川の傍を通ることになる。GPSと地図を見て現在地を確認、地図上ではこの場所の上に林道がある。急な斜面を登ろうかとも考えたが、先程の徒渉点まで戻り右の沢に入る。

 

右上に林道らしきものが見えた。木に捕まりながら上がると崩壊地に踏み跡が水平についていた。ガレ場を20m程で林道になっていた。ここはわかりづらい、林道に出て直ぐに朽ち果てた橋(真ん中は穴が空いている)橋の両端は30cm程の苔の生えた古い木がある。これを慎重に渡る。林道には石垣が残っている。道に笹が生え、小さな灌木も生えていて歩きにくい。笹は背が低く灌木も小さいので苦労することはない。

 500m程でまた朽ち果てた橋にでる。橋と林道の間に土がなく、1m程下に降り橋げたに足をかけてよじ登る。朽ち果てた橋なのでここも慎重に渡る。ここからは林道とは呼べないような道になる、雪解け水が道の真ん中を流れている。左側下の川まで30m程であろうか、その流れを見ながら、川に沿って行く。川は滑滝や小さな滝などがあり、水も綺麗で雪解け水を集めているのか水量はある。

 

沢から離れて右に大きく曲がっていく。ここからの廃林道は道筋に生えている灌木や太くて背丈以上ある笹藪が生い茂っている。ザックに付けたストックが灌木に絡みついた蔓に引っ掛かり、藪を通過するのに苦労する。大きく曲がってから500m程で左側にV字を横にしたように曲がっていく。ここからは藪に加えて崩落地が数か所でてくる、単に崩落してガレになっているもの、大きな木が倒れてガレと木と藪で進行をはばんでくる。残雪も多くなり踏み抜きも多くなる。

大きく曲がってから600m程で廃林道は地図上で右に大きく曲がっている。どこが廃林道なのかわからなくなる時計は1850分、暗くなりかけたのでヘッドランプを用意する。

 

GPSで現在位置を確認して廃林道を探すが見つからない。夕飯を食べようと沢状の平坦地でシートを広げて夕食にする。197分。平らな場所だが風が吹き抜けて寒い、ダウンを着こむ、いよいよここでビバークかとユックリ食事をした。食事をしながら今後のことを話し合う。

 

GPSのおかげで現在位置は確認できている。地図をみるとプレハブ小屋まで1km程、GPSで確認しながら行けば遅くなるが小屋へ行ったほうがよいのではとなって、この場所を撤収する。但し、小屋が入れる状態かは不明、たぶん開いているだろうという思いで(いいかげんだ)出る。

1953分出発。直登は等高線が狭く傾斜がきついが、直登することにする。しかし、直登は藪が濃く大きな木や大きな倒木がありなかなか進まない。地図上で右方向に等高線が広い場所があるので、そちらに右上方向に進む、雪原が広く藪が少なく歩きやすくなってきた。

  

広い雪原を小屋に向かって移動する。ここでGPS使用の失敗をした。方向などをGPSで見ていたために、正確な直進ができなかったことである。ここではGPSで位置確認、地図上で小屋の方向を磁石に合わせ、磁石の方向に進むのが良かったが、GPSで行った為に目的地が外れることがあってもGPSを信じてしまったことが失敗だった(GPS使用が未熟だったためかも知れない)。

 

昔、地図と磁石で目標に向かっていった。その時の現在位置はいい加減なもので、この辺りだとしてそこからの方向で移動していた。現在はGPSで現在位置がわかるので、地図と磁石の併用をしなかった為に行動をロスすることになった。地図と磁石だけなら現在位置もわからなく夜間の行動などできなかった。

 

目の前に藪が出てきた、藪の先は暗闇で見えない。そろそろ塩那道路に出てきてもいい場所なのだが、藪の前に行くと藪の向こうに塩那道路が横たわっていた。小屋より少し男鹿岳寄りに出てきた。右に少し行くと小屋が見えた。2122分ようやく到着した。

小屋の入口部分は雪がどけてあり、ザックを背負ったまま室内に入ることができた。室内には単独行者が寝ていた。この方が入口の雪をどけて入れるようにしてくれていた。プレハブ小屋は横5m縦3.5m程でブルーシートが引いてある。4か所に窓があり東側の窓が一枚割れていた。西側の雪は窓の下半分位あった。東側は窓の真ん中位あった。室内には蛍光灯があり配電盤もあったが電気は付かなかった。

 

昔、林道工事の飯場で、発電機などで電気を起こしていたのだろう。遅くに着いて先行者に迷惑をかけてしまったが寝ることにする。

 

遅くても無事小屋に着いたのはGPSのお陰もあるが、S氏が大佐飛山の地図に経度線・緯度線を弾いていた。お陰でGPSの位置もこの線で読めたのが大きかった。

2010年5月3日(月)

 

スリーシーズンシュラフでシュラフカバー、ダウンは着たまま、足のほうが寒くて夜中に何度も寝返りを打つ、S氏は寝られなかったと言っていたが、私は寒さを忘れる時間があるので彼よりは寝ているようだ。

 

単独行者は千葉からで「静かな山」を巡っていると言っていた50歳台の男性だった。彼は前日男鹿岳経由で鹿又山を登って早くに小屋に着いていた。今日は大佐飛山を往復して男鹿岳経由で帰ると言っていた。5時ころ出発予定と言っていたが、我々と話をしていて、5時40分ころ出発していった。我々は6時出発と決めていた。

 

69分サブザックを担いで出発する。男鹿岳方面に向かって塩那道路を行く。小屋の隣に「104建設大隊 塩那の峻険を拓く」と大石に刻んであった。この道路は自衛隊の協力で作られたというその記念碑である。横に「記念碑 塩原側より29.2km 板室側より21.6km」の看板があった。その先に横川に通じる廃林道が土を出していた。昨日はここよりも男鹿岳方面に30m程の所に出てきた。

 

小屋から5分程で大佐飛山への入口になる。錆びて何が書いてあるのかわからない看板があった。ここが大佐飛山への入口のようだ。入口の左手に黄色の「立ち入り禁止」と印刷されたビニールテープがあった。

 

先行者の足跡がビニール方向でなく真直ぐに付いている。その足跡を追う、突然足跡がなくなった、探したがわからずGPSで位置確認。

 

入口を入って左にある尾根筋を行くのが正解。これもこのコースを下調べなく先行者の足跡を追ってしまった為に起こしたミス、ここから沢に下りて向かいにある尾根まで登り返すが、S氏が尾根に登らずトラバースしていけばこの先で合流するとの判断で沢床からそちらに向かう。正規ルートらしき所に出て、尾根筋を外さないように登っていく。地図上の1872mが標高差300m程の急登である。この登りは苦しかった。

1872m地点から正面に大佐飛山が目の前にどっしりと構え、右側に大長山・黒滝山などの山並みが見え、黒滝コースは結構アップダウンがあるようだ。大佐飛山の左側には那須の茶臼岳や三本槍岳などが見える。更に目を左に転じていくと男鹿岳とその下に走る塩那道路が続いている、眺めの良い場所である。

 今日も天気は良く暑い。ここからはまた下りになる200m程下ると緩やかな登りとなる。地図上の1824m辺りから下りになるが、すぐに大佐飛山の最後の登りとなる。標高差100m程で途中小屋にいた単独行者と出会う。山頂まで10分位です。黒滝コースから来た単独行者が来ました。と情報を得て、お互いに無事を祈って別れた

行くとすぐに山頂標識板が見えた。S氏と握手しながら山頂に立った852分バンザイ、ついに大佐飛山山頂に立っている。帰りのことも考えずに山頂で登頂の感激に浸った。

 

誰もいない二人きりの山頂、誰も登ってこない。S氏がコーヒーを入れるといって、雪を融かしてお湯を沸かす、彼はサブザックから例のものを取り出し飲んでいいかと聞く、もちろんOK、彼のこの優しさ・心遣いがうれしい。ただ、その後がいけなかった。ビールはしっかりと持ってきたけどコーヒーを忘れた。私は白湯を飲むことになった。しかし、疲れた身体に松の匂いのする熱いお湯はおいしかった。

 山頂には38分もいた。山頂には誰が掛けたか山名板が5枚あり、最新で2010年4月19日の緑色、2010年4月6日木目板、栃木百名山2009 2008Taka、2004年4月18日黒色、栃木の山紀行、と書かれていた(実際は6枚ある)。記念撮影して下山する。

 

 帰りは地図の西尾根を外さないように下る。黄色で立ち入り禁止のテープが所々に目に付いた。途中1872mへの登りは疲れた。しかし1872mからの下りは快適である。下りきると塩那道路に向かって登りになるが、尾根を忠実に辿ると1622m地点になる。

 

 ここから先が少々不明になる。それも雪がついていなく背の低い藪が続く。尾根を忠実に辿れば黄色のビニールテープも所々にある。やがて塩那道路に飛び出す。入口の黄色のテープの場所である。11時41分、小屋までの5分が長く感じられた。単独行者は小屋から往復4時間位といっていたので我々は5時間だなと言っていた。休憩を除くと5時間以内で往復したことになる。

 小屋でお茶と昼食にし、帰り仕度をする。12時40分小屋を出発。帰りは地図上の廃林道を辿ってみようと出発する。廃林道に入って直ぐに廃林道の位置がわからなくなった。廃林道を探しながら行くが廃林道らしき道が探せない。

 

 その内、S氏が現在位置を見て廃林道を探すよりも昨日夕食を食べた地点まで真直ぐに下ろうと提案があり、その方が時間短縮にもなるので広い雪原を下って行った。

帰ってからGPS軌跡を見ると、下った場所が廃林道の上にあったことがわかった。結果廃林道を辿るより十分ショートカットできた。夕食地点から1472m地点まで少し登るとそこに昨日の足跡があり、足跡を辿ると廃林道にでた。ここからは廃林道もハッキリしていてGPSのお世話にはならなかった。1339分、廃林道を更にショートカットしようとしたが、雪がなく藪が濃くかつ急斜面でショートカットをあきらめ、来た道を戻るが疲労が溜まって休みが多くなる。

 

 最初に出会った朽ちた橋から直ぐに道がなくなった。道は崩壊していてガレに踏み跡が付いている。ガレに乗ると小石が動くので慎重に渡る。ガレは50m程で林道に降りる。ここは昨日迷った、わさび田へ下る所にある石垣の所にでる。石垣の倒木にピンクのテープが巻いてあったが分かりにくい。

 

いよいよ最後の林道歩きになる。1540分、通行止めクサリ163分、横川放牧場C団地1642分、B団地、A団地と通ってキャンプ地へ、キャンプ地に着いたときはホットした、車の所へ1737分に帰り着いた。

 

今日の行程は11時間半ほど、よく歩いた。S氏と無事でよかったと握手をする。達成感充分な2日間であった。S氏ありがとう。

 

大佐飛山はいい山という感じがする、どこかのコースの藪を切り開いたら人気のでる山ではないかと感じた。

 

今度は男鹿岳に登ろうと話し合い帰路についた、連休で高速は渋滞、大宮には21時半ころ帰着、S氏はさらに石神井まで車を運転して行く、何時になることか心配になる。

 

今回の収穫、GPSは便利であり、地図と磁石を併用することで山での道迷いが相当防げることがわかったことである。

 

地図表示できる高価なGPSは必要ない。緯度経度が表示できる機能、あとは緯度と経度の線と値及び磁北線を書き入れた地図(カシミール3Dで作成できる)と磁石の使い方がわかれば現在位置が把握でき、地図を読んで向かう方向に崖があるとか急傾斜とかを判断できれば危険も回避できる。

 

ぜひ皆さんもGPSと地図と磁石の3点セットを持って歩くことを提案したい。

 

ちなみに私のGPSは地点登録でナビをする、磁石内臓で移動せずとも方角がわかる、歩いた軌跡も表示できる、歩いた地点を自動登録(ログという)する、しかし、地図はない(地図が付いて日本語のGPSは13万円程します)、この機能で18,000円程です。

(Wintec社 G-Trender BT WSG-1000)

Hey Visitor!

 

 

アクセスカウンター アクセスカウンター