山 名:秩父槍ケ岳 1341m
登山口:相原橋
登山日:2012年6月25日
「埼玉県の山」(山と渓谷社)2010年版に「本書中最難度の岩峰」とある。本書には「赤岩岳」「両神山(八丁尾根)」「二子山」も書かれているが、一番難しいとは何なのか?
こんな山があることすら分からなかった。妻が中津川渓谷に行くが大変なので連れていけという。そこで調べていくうちに興味が湧いてきた。どうせ行くなら本にある山頂までの直登コース(現在はこのコースは消されている)を行って見たいと欲がでてきた。
2012年6月25日(日)早朝から出かけた。秩父市内、三峰口、大滝温泉を過ぎてから、左に秩父湖への道を見て右折、彩甲斐街道国道140号を行く。ループ橋を滝沢ダムを見ながら車を走らせる、ダムの上に出て、トンネルを3つくぐり、橋の手前「こまどり荘」の看板を右折、210号に入る。トンネルを6つ抜け、5Km程行くと右手に駐車場、トイレ、奥秩父観光案内の看板のある広い駐車場がある。ここに駐車する。支度をしていると、石がぶつかる音がする、気のせいかと思うとこんどは大きな音がした。駐車場の真ん中あたりの川から聞こえる、見ると対岸の斜面上部から大小さまざまな石が落ちてくる、その石が川にある石に当たる音だった。
こちら側に石が飛んでくるかも知れないので車をトイレ舎の横に移動した。
看板の先にバス停がある、さらに50m程に駐車場と反対側に登山口がある。登山口手前に相原橋があるが車で通ると橋があるのがわからない。
「火の用心」と垂れ幕がある沢の左岸を行く。登山ポストと野鳥の森の案内板があり、先を直角に右に行く、階段がある、沢沿いに道があり、野鳥の森歩道の標柱がある。
歩道は荒れている、途中手すりが出てくるが、一部道が崩れてなくなっている所もある。道は沢に下り沢横にある道を行く、川の際から山側に登って行くと右上に建物が見える、建物を見ながら先に行くと、標柱が立っていて標識が2つあり、その下に「野鳥観察小屋」と矢印が書いたものがあった。これがないと野鳥観察小屋にいかずにそのまま沢沿いに行ってしまいそう。
野鳥観察小屋へ登る、小屋は広い、屋根があり水場も近くテントも張れる広さがある。建物の向こうに「通行止」と書いた札がロープで結んであった。
ロープをくぐって行く。地図では小屋からほとんど真っ直ぐに山頂に向かっている。
急登が続く、踏み跡はシッカリしていて道を間違えることはない。急登が緩んで明るくなると「野鳥の森歩道終点」とかろうじて読める標柱がたっていた。ここからコンサイス秩父槍ケ岳が見える。歩道終点と書いてあるが、こんなに急登なところが歩道とは恐れ入る。
この先は岩の痩せ尾根で急登になる。岩にあたると直登するか巻くかの見極めをしながら行く。巻くときはほとんど右側を巻く、踏み跡があるが、よく見ないと踏み跡と間違う所もあり注意が必要、また、ピンクテープがあるが数が少なくなってくるので、テープを拾うように注意して行く。
踏み跡もあるようなないような、あると思って行くと行き詰ってしまう、そんなときは後ろを見て上の方を見るとテープを見ることができるかもしれない。踏み跡らしきところは、すごい傾斜地で滑り落ちると大怪我は間違いないところだ。
ルートを見極めながら行くので時間がかかる。
岩の間に土付で木の根が埋まっているときは、その木の音を素手で掘り起こして、手を掛け、四つん這いになりながらの登攀で、手は泥だらけになる。
こうして行くとロープのある岸壁にでる、ロープは古く身体をあずけるには心もとない、ここは妻を先に行かせる、滑ってくるのを支えるためである、ここは落ちると命がなくなるようなところである、ところが直ぐ後を行こうとしたら、妻はさっさと行ってしまった。
妻にはロープは持つだけにして、何かあったときだけ握れるようにするように指示を出した、いつもあまり云うことの聞かない人が、ロープに手をかけてはいるが指先は岩をしっかりと捉えていた。岩慣れたものはロープは必要ないところ、私もロープは使わなかった。
岩場から更に急登を行くと樹木の間にロープが張られていた。ロープをくぐると秩父槍ケ岳1341mの山頂だ。
山頂は狭く周りが樹木で囲まれて見通しはない。木の間のロープに木札が掛けて山頂を示していた。
秩父槍ケ岳 1341メートル
第1318回 2002年4月28日
葛飾区ハイキング連盟
これがあるおかげで山頂とわかる。
展望もないので、一休みして西の急斜面を下る、こちらのほうが踏み後がしっかりしている。道の両側は切り立っている。急斜面意杉の木などの木の根が大きく張り出して歩きにくい、下って登りにかかると鉄柱が立っている、アンテナを麓に送る鉄柱で下を見ると、諏訪神社への道と思われるものがあった。鉄柱に導かれて上に行き、少し右手に行くと明るい尾根に出る、ここの左側にアンテナの鉄塔が立っている。ここは明るく気持ちがいいが見通しは良くない。でもちょうど昼時間なので休んで行く。
この山には同じ山名が2つある、ひとつは先程の山頂「秩父槍ケ岳」もうひとつは「コンサイス秩父槍ケ岳」とある、そのもう一つの山頂がテレビアンテナの先にあるという。
狭い岩尾根を行く、少し高台に出てきた、このあたりにコンサイス山頂があるという、左の小高いところに行くが何もない、右の小高いところに行くが何もない、違うようだとそのまま踏み跡をたどる、真直ぐ行くと岩に突き当たるように上りになる、ここは左斜め下にはっきりした道がある。コンサイスは見つけられなかったとして左へ行く、斜めに下って行くと、左に下っているのと右に上がっていく分岐にでた、右に行くと「野鳥の森歩道終点」に出るのだと思う。左の急斜面を降りる。
ここを下ってから妻が道が違うようだと言い出した。理由はインターネットにこちらのコースには250m毎に標識がある、それが無いから違うと言い出したのだ。
実はGPSを忘れてしまい、現在位置が樹林帯の中で確認が難しい状態だった。しかし、歩いてきた道の状態や今までの地形を考えると間違いはない。妻の言葉を無視して下る。
下って行くと標識が出てきて間違いがないと納得してくれた。250m毎の標柱が完全にあるわけでなく、無くなっているものもあった。
樹林帯の長い下り、沢音が聞こえ出すと崩壊地の上に出る、下を見ると河原のあたりに倒木が重なっている。程なく「崩壊地迂回」と看板がある。ここを左に向かって下っていく、ようやく沢に下り、沢沿いに下って行くと左前方に「野鳥観察小屋」が黒く見える。
小屋下からは今朝の道を登山口まで同じルートを下る。
13時55分登山口に帰ってきた。登山口を8時25分出発なので、5時間30分(休憩込)の山行であった。
今日は日曜日、誰かに会うかと期待したが誰にも会わなかった。静かと言おうか、寂しいと言おうか、マイナーな山を実感した。
でも山行は楽しいものだった。最近は身体(体重)も軽く、るんるん気分での山行だった。